「フリーメール」が悪いの?本当に?

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いつもお世話になっているビースポーツさんのとあるツイートが気になりました。

「フリーメール非推奨」というスタンスに疑問を感じたので引用リツイートしたのですが、あらためてモヤッとポイントを整理してみたいと思います。
結論を先に書くと「フリーメール特にiCloudは非推奨」というのはちょっと乱暴でないかと考えています。

自分自身が「フリーメール」を利用していて、しかも事務局からのメールを受信できない経験あり

実は私自身、2017年にマツ耐へエントリーするときに「事務局からのメールが受信できない」という問題が発生してコミュニケーションに支障が出た、という経験をしました。その節はメール以外にもお電話での対応も含め何度もやり取りしていただいて、本当にありがとうございました。

話を戻すと、その時は次のような状況でした。

  • 事務局から私宛のメールが受信トレイに入ってこない
  • 迷惑メールフォルダにもない
  • 迷惑メールフィルタは自分では何も設定していない
  • こちらから事務局へ送ったメールは先方へすべて届いているようだ
ここで「受信できないんだから受信者都合でしょ」と言いたくなるのを我慢して、もう少し考えてみます。

「フリーメール」って何?

そもそもの「フリーメール」の定義ですが、ここはWikipediaの「無料で電子メールアカウントが取得できるサービス」という記述がわかりやすいのでそのまま使います。
フリーメールサービス|Wikipedia

1990年代から2000年代初頭においてはインターネットに接続するために「プロバイダー」の有料サービスを契約をしてインターネット接続とメールアドレスを取得するのが一般的で、それとは別に「フリーメール」があったわけですね。Wikipediaにも書いてあるようにフリーメールは「捨てアド」に使われたりスパムや犯罪利用の可能性が高い、情報セキュリティ上の不安、データ消失の可能性など不安や課題を抱えています。

なぜ「フリーメール」だと送受信できないメールがあるのか?原因と対策は?

本当に「フリーメール」だからダメなんでしょうか。ここに疑問を持っています。iCloudを使っている私自身が問題に直面しましたが、エントリーに関するやり取りとは別の日の装備品についての質疑はiCloudメールで問題なくやり取りできました。別の原因が考えられるのではないでしょうか。

メールシステム全体を見ると「インターネット」「メール業者」「受信者」「送信者」といった利害関係者が出てきます。それぞれで「メールのやりとりができない」場合に考えられることを書き出してみましょう。

インターネット

プロトコル、IPアドレスやドメイン、ネットワーク、セキュリティや暗号など、すべて国際標準規格に準拠して構成、運用されています。インターネットに接続できて様々なコンテンツやサービスを利用可能ということは、機器や接続事業者が標準規格に準拠しているからだと言えるでしょう。メールに関して言うと、特に利用者が設定したりなにかできることはごく限られていると思います。(自分の端末や自宅のWi−Fiルーターを再起動するとか)

メール業者側

いわゆる迷惑メールフィルター的なものについて、ユーザーが自力で自分のアカウントへ設定する以外、大本となる業者側での設定が厳格だ、というのは影響があるかもしれません。少しでも怪しげなメールで迷ったら遮断する、といったイメージでしょうか。

たとえば有名な話としてGmailはRFC違反のメールアドレスは一切送受信できないし、怪しいメールはそもそもサーバーから取得しないし、受信したメールに対する迷惑メール判別も比較的優秀な印象です。

iCloudについても、自分で登録したメールマガジンがよく迷惑メールフォルダに振り分けられるなどどちらかというと利用者の安全を重視した厳しい運用をしているんじゃないかな、とは思います。

別の問題として、メールサービスそのものがダウンすることはあるかもしれません。実際Gmailはたびたびダウンしてますし。

ただ有料だからダウンせず無料だからダウンしやすいということはなく、有料でも無料でもサービスダウンの可能性は常にあります。ダウンしている時間帯は困りますが、フリーメールが常時送受信できないというわけでもないと思います。

受信者側

「メールが届かない!」と事務局へ問い合わせる前に、登録したメールアドレスを間違えていないかどうか、また自身で設定している迷惑メール設定を見直し、相手方のメールを気づかにないうちにシャットアウトしていないか、自分でオプトアウトしていないかどうかなど、落ち着いて確認する必要があります。利用しているメール事業者側の設定は、利用者自身にはどうすることもできません。

送信者側

個別のケースは別として、利用しているメールサービスや決済サービス等から発出するメールがかんたんに迷惑メール判定されず確実に相手方の受信トレイに届くように、RFCに準拠したメールの作成、SPF認証、DKIM認証、DMARC導入などの要件を満たしているかどうか、今一度確認してみるのは意味のあるアクションだと思います。

現実問題として「フリーメール」以外の選択肢って何があるの?

いち個人としては特定の組織からのメールが不規則に受け取れなくなる可能性があるからと言って、いまさら「フリーメール」以外に乗り換えようとは思いません。メリットがない。

そもそも有料のメールサービスってどこにあるんですか。お金払ったらなにかよくなるんですか。そういえば今住んでいるマンションの有料プロバイダを利用していてメールアカウントもあるのですが、スパムだらけで全く使い物にならず、いったんGmailに放り込んでスパムフィルタかけてから受信してるんですけど。

GmailもiCloudも「フリーメール」ではあるもののサービスやセキュリティのレベルが「無料だから低い」とは一概には言えないのではないかとも思います。むしろ広告や自社製品の収益をもとに相当なコストをかけているのでは。新規顧客獲得・既存顧客との継続接点である無料サービスには相当気を遣っていると思いますけどね。

有料の低品質サービスもあれば、無料の高品質サービスもある。

まとめ

そんなわけで「事務局からのメールがiCloudで受信できない」問題について、事務局さんの「フリーメール特にiCloudは非推奨」というのはちょっと乱暴でないかと考えています。

「iPhoneの普及にともなってiCloudの利用者が増えている」
「最近のメール受け取れないトラブルの約9割はこれらのメアドである」
ここまでは事実として
「だからフリーメールは非推奨」という考えにはどうも賛同できません。

「トラブルの約9割がiCloud」ということは、それは「フリーメール」全般の問題ではなく事務局が利用しているメールシステムとiCloudの間の問題かもしれませんよ。

iCloudは国際標準規格に準拠しているのではないかと思うので、むしろ事務局が利用しているメールシステムなり決済システム側に対処の余地がないのか確認する必要があるのではないでしょうか。かつてのdocomo, auがRFC違反のメールアドレス作成を許していたように、日本国内のサービス事業者の無知や怠慢が根底にあるのでは?と疑ってしまいます。

事務局からのメールが何らかの理由で迷惑メール判定されやすく、それは受信側ではなく送信側でも対処できるしすべき問題が含まれている可能性ははないのか?というのが現時点での私の疑問です。自分のこれまでの経験上「そもそも受信トレイにも迷惑メールにも入ってこなかった」というのはビースポーツさんの事務局くらいなんですよね。

とか言っている間にこんなしょうもない問題が消えてくれたらよいな、と思います。誰かなんとかして。