「ディレクターのみなさんへ」

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2011年4月1日に、これまで10年間勤務したWebインテグレーション的な部署から新しい部署へ異動しました。ずっと「Webディレクター」という職種を勤めてきまして、客先への常駐も含め大小さまざまな案件に関わらせてもらいました。(とか言いつつ、この先も引き続きディレクターなんですけど)

部署を離れる際、主に後輩の経験の浅いディレクターを想像しながら、今後のディレクションに役立つかもしれないメッセージを残しました。自分の経験からだったり、ディレクションを生業とする方のブログを読んだり同業の方と話したりといった中からの気づきをまとめたものです。どれも基本的であたり前のことばかりなのですが、サボるとまずいことになる。自分自身の苦い経験からくる反省をふまえつつ、メッセージの内容を、ちょっと編集しましたが自分のブログにも載せておこうと思います。

「調整」をしましょう
ディレクターの主要な仕事は「調整」です
まず相手の要求をキャッチし、その要求の背景と目的をキャッチする
その上で「実現可能な具体策」を考え、調べ、提案する
調整の結果が「サイトマップ」であり、「ワイヤーフレーム」であり、「スケジュール」であり、「費用見積もり」といったアウトプットです
調整の結果やむなく「すみません、全ては叶えられません」と言うのは、たぶんOKです
「ちゃんと言った」「ちゃんと伝えた」では届かない
仕事上のトラブルのほとんどは「認識の不一致」が原因です
コミュニケーションの相手がこちらの期待する通りに動いてくれる必要があるので、そのために「認識を一致」させる必要があります
コミュニケーションの成否は「どう伝えたか」ではなく「相手がどう受け取ったか」で決まります
言葉の選び方に気をつけ、要求だけではなく目的や背景を伝えるなど、相手が動きやすいように配慮し、伝えたあとの相手の動きを確認しましょう
相手は「あれ?あの時は分かったって言ってたじゃない!」っていう、こちらの期待とは違う動きをするかもしれません
「自分はちゃんと言った」「自分はちゃんと伝えた」のは事実なんだと思います。たぶんそれは正しい
けれど、もし相手の行動が期待したものと違ったら?そのせいで思うような結果が得られなかったとしたら?途中でお互いの状況を確認しないおかげで最後まで軌道修正ができなかったとしたら?
悲しいけれど、それはコミュニケーションのミスなのです
自分が正しいかどうかよりも、相手がどう理解したか、最も望ましい結果が得られるかどうか、にこだわりましょう。それがプロ。
可視化し、共有し、合意しましょう
人は、自分が既に知っていることや興味のあることは理解しますが、知らないことや興味のないことは全く耳に入らないし記憶にも残りません
なのでいろんな形で、いろんな言葉で、いろんなツールで、しつこいほど可視化し、共有し、合意しましょう
可視化→仕様や設計をドキュメント化するのはもちろんのこと、作業タスクもWBS化するなど資料化しましょう
共有→配布、説明、変更の協議、変更内容の資料への反映などを、必要なメンバーで一緒にやりましょう。一人で抱え込むのはNG
合意→最終的な意思決定は発注企業の決裁者です。必要に応じて会議をセッティングするなど、「合意の場」を作り明示的に「承認」をもらいましょう
なので、議事録は毎回必ず、完璧に残しましょう
日付と時間で握りましょう
スケジュールを作らない「作業」は価値を生み出すための「仕事」ではありません
何をするにも、必ずスケジュールを作りましょう
なにもきれいなガントチャートを作ることを指しているのではありません。「締め切り」と「担当者」を決めるのです
関係者全員がその締め切りを守ることが重要です
締め切りを守るためには、日付だけではなく時間まで指定することが重要です
Aさんの「今日中」とBさんの「今日中」は、違う日時かもしれません
時間まで指定することで、その作業を担当する人は自分の予定を組み立てることができます
緻密にスケジュールを引いたって、どうせ守られない?
しかしマスタースケジュールがないと、そこからの「変更」もできませんよね
スケジュールはプロジェクト開始時に作り、その後は毎日メンテナンスしてゆくものです
絶対に変更してはいけないのは、マイルストーン
日々の調整は現場レベルでOK、全体に影響するようなマイルストーンレベルの変更は、決裁者へ説明をし承認をもらえるような段取りを組みましょう


仕様変更、スケジュール変更など、日々変更が発生します。変更はあってあたり前。変更があってはいけないのではなく、誰かが勝手に変更したり、一方的に変更してはいけないということです。「それ聞いてません」という人を一人も作らないのが重要です。

間違えてはいけないのは、最終的な意思決定権者は発注企業の決裁者だということです。ディレクターはプロジェクトリーダーとして都度の「最適な判断」を求められますが、自分は決裁者ではない点に注意が必要です。