2012 Indy 500の佐藤琢磨選手に対する期待と不安

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2012 Indy 500で、佐藤琢磨選手は大活躍でした。レース全体のうち31周に渡ってトップを走行、2位で迎えたファイナルラップ第1コーナーで優勝をかけてアタック!しかしこの挑戦は失敗し、レース終了まであとコーナー3つを残したところで無念のクラッシュ〜リタイアとなりました。

Indy 500というビッグイベントでの最終周回、ほぼ確実だった2位のポジションにこだわらずに目の前のチャンスに挑戦する。実に佐藤選手らしい行動だと思います。あのまま何もせずに2位でゴールしていたら、レーサーとしては失格なのかもしれません。失敗しても2位でゴールしてくれればなおよかったのですが、クラッシュで終えるというのもまた彼らしい結末だったと思います。

今年はマシンの仕上げ方やレース戦略を上手く働かせることができているので、残りのシーズンでも何度かの優勝争いが期待できるでしょう。

しかし、不安もあります。F1時代は予選2位と決勝3位が最高位で、優勝はありませんでした。表彰台が確実だと思われた2004年のヨーロッパGPでも、3位走行中のレース終盤に目の前のフェラーリに突っ込んでリタイアという結果に終わっています。2012年の活躍は、2004年とダブります。目の前のチャンスに、後先考えずに挑戦してしまう姿は、あの頃と何も変わっていないように思え、今年がピークなんじゃないかという不安がよぎります・・・。

「No attack No chance」。そこが彼のよいところであり、危ういところでもあります。記憶に残るけれど記録には残らない。ぼく自身、彼のそんなところが好きなんですけど、一度くらいトップカテゴリでの優勝が見たいという思いもあります。どうやらF1よりもIndyの方がチャンスは大きそうです。
今回は挑戦に失敗して全てを失いましたが、前戦では終盤のアタックが成功して3位表彰台を獲得しました。次にまた優勝に挑戦できるチャンスが来るかもわからない状態では、やはり「No attack No chance」なんですよね。

無冠の帝王と呼ばれたナイジェル・マンセル選手はキャリア終盤にワールドチャンピオンを獲得しました。願わくば、佐藤選手のキャリアと僕たちの夢に、さらなる続きと高みがありますように・・・。